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半二重通信方式と全二重通信方式

初版: 2005-04-04

二重通信

ある通信媒体に 2 つの通信装置 A と B が接続される時、装置 A から装置 B へのみ、つまり一方向のみへ送信する通信を単方向通信 (simplex) という。これに対して 2 つの装置から相互に、つまり両方向へ送信する通信を二重通信 (duplex) という。さらに二重通信には 2 つの通信方式が存在する。一方の装置が媒体を使って送信をしている時もう一方の装置は送信を行わない、つまり 2 つの装置の送信が同時に行われない方式を半二重通信 (half-duplex) という。また 2 つの装置が同時に送信を行うものを全二重通信 (full-duplex) という。全二重通信とは違い、半二重通信では 2 つの装置の送信が同時に行われることがないように制御することが必要となる。ここで二重通信を媒体の構造面で見てみる。半二重通信では媒体は内部に 1 本の伝送路を持ち、この伝送路を 2 つの装置の送受信口に接続して共有する。全二重通信では媒体は内部に 2 本の伝送路を持ち、そのうち 1 本を装置 A の送信口から装置 B の受信口へ接続し、もう 1 本を 装置 B の送信口から装置 A の受信口へ接続する。2 本の伝送路は実際に媒体の内部で物理的に分かれている場合もあれば、物理的には 1 本の伝送路だが論理的に 2 本の仮想の伝送路を持つ場合もある。IEEE 802.3 プロトコルは二重通信を行うためのプロトコルであり、半二重通信方式 (half-duplex mode)全二重通信方式 (full-duplex mode) の 2 つの通信方式が規定されている。

単方向通信と二重通信
図 1: 単方向通信と二重通信

全二重通信方式とネットワークトポロジー

IEEE 802.3 プロトコルは元々ネットワークトポロジーとしてバストポロジーの使用を前堤に策定された規格で、半二重通信方式のみを規定し、その媒体アクセス制御方式である CSMA/CD 方式は IEEE 802.3 規格書の題名にもなっている。しかしその後 CSMA/CD 方式を必要としない全二重通信方式が導入され、飛躍的な性能の向上を果たした。そこで半二重通信方式よりも全二重通信方式を使用することが望ましいのだが、これは使用される通信媒体に大きく依存する。IEEE 802.3 プロトコルは現在ではバストポロジーとスタートポロジーを採用するが、このうちスタートポロジーを前堤に設計された媒体でなければならない。全二重通信方式を使用するためには、通信相手に対し送信用伝送路と受信用伝送路を確保しなければならないため、1 つの媒体を不確定の複数のステーションで共有するバストポロジーでは実現が難しく、1 つの媒体を必ず 2 つのステーション (ブリッジ) のみで共有するスタートポロジーである必要がある。

ネットワークトポロジー
図 2: ネットワークトポロジー

そして当然だが接続される各装置が全二重通信方式に対応している必要がある。例えば複数のステーションが接続されるブリッジに換えてリピーターを接続した場合、リピーターは全二重通信に対応していないため、半二重通信方式で動作することになる。リピーターはその内部で各ポートを 1 本の伝送路で共有している。そのためリピーターに接続された各ステーションは、スタートポロジーで接続されていても実質媒体を共有するバストポロジーと同じ形になるため、全二重通信方式は行えない。結果的にリピーターは特殊な媒体とみなすことができる。しかしこの場合リピーター内部では 1 本の伝送路でも、媒体自体は 2 本の伝送路を持っているため、実際には媒体上で信号が衝突することはない。そこで半二重通信方式で動作する場合、互換性を保つためにフレームを送信中に受信があった場合は衝突が起こったとみなしている。

リピーターによるスタートポロジー
図 3: リピーターによるスタートポロジー

スタートポロジーと全二重通信方式は容易なネットワーク構築と高いデータ転送速度をもたらし、バストポロジーと半二重通信方式を選択する優位性をなくした。その結果現在の IEEE 802.3 ネットワークはスタートポロジーで構築し全二重通信方式を使用することが主流となっている。